兎症候群の治療法


「孝ちゃん」
「ん?」

泉の部屋でゴロゴロとしながら「あうう…」と言葉になっていない声を上げながら、 背後から泉の腰に手を回して抱きついてくるに、思わず目をぱちくりとさせる。

「どうした?」
「うさぎなの」
「は?」
「うさぎは寂しいと死んじゃうんだよ」
「えーっと…つまり、構えってことか?」

「うん…」と小さく頷くに、 泉は手にしていたゲームのコントローラーを置くと、 の手を軽く振りほどいて、くるりと体勢を変え、床で倒れていると向き合う。 の頭にポンポンと軽く叩くように手を置くと「あうっ」というの声がした。

「勝手に人の家に来た癖に何言ってんだ」
「だって、部活休みだと暇なんだもんー!なんで恵子さんいないのー?」
「うん。まぁ、ちょっと分かるけどな」

確かに連休と言えば基本的に部活だし、休みなので体を休めろと言われても困るのは分からなくはない。

「せっかく恵子さんに卵焼きの作り方教えてもらおうと思ったのに」

どうやら最近、は料理作りにハマっているらしい。
まぁ、本人いわく全然上手くいかないらしいが…。

「出かけてんだから仕方ないだろ」
「むー。だったら、孝ちゃんが構って」
「構ってって言われてもな…」

「ゲームするか?」と聞くと「うーん」といまいちな反応をして抱きついてくる手を強めるの頬に手を添える。

「…まぁ、俺はこのままでもいいけどな」
「ええー!それはつまんないよー」
「じゃあ、ドキドキさせてやるよ。こっちこい」
「うえ?!」

力で勝てるはずもなく、逃げようとした瞬間で捕まり腰を抱かれてすっぽりと泉の膝の上に横向きで抱きかかえられる。

「孝ちゃん、乱暴ー!」
「そんなに力入れてねぇよ」

の額に軽く口づけると、ピタリとの動きが止まる。
そんなの反応を可笑しそうに笑う泉に、が頬を膨らます。

「…私のことからかっただけ?」
「んなわけねぇだろ。拗ねてんじゃねぇよ」

を宥めるようにそう言い、軽くの頬に口づける。
ピクリと反応したあと、照れる頬を隠すように泉の服を掴み、顔を胸元に埋める。

「顔、見てぇんだけど」
「赤いからやだ」
「今更なにいってだよ」

吹き出すように笑う泉にが不服そうな表情をしつつもゆっくりと顔をあげる。

「孝ちゃん」
「どうした?」
「キャッチボールしたい」
「いいけど…お前とは久しぶりの気がすんな」
「高校に入ってから二人でやってないもんね」
「だな。じゃあ、やるか」
「うん!でもその前にもうちょっと撫でて」

「乗り気なんじゃねぇか。この我儘娘が…」といいつつも頭を撫でてくれる泉に、が嬉しそうに抱きついてくる。
軽くの体を持ち上げ、そのまま自身のベッドの上に下ろして座らせる。

「…こ、孝ちゃん」
「ん?」
「あの…。先に謝っとく。ごめん」
「なにが?」
「さっきイチゴミルク飲んだ…」
「…いいよ。ここまでくるとなんか慣れてきたしな」

が好きでよく飲むイチゴミルク。 前ににキスをした時に、イチゴミルクを飲んだ後で、泉に甘すぎると言われた。
それが一回ではなく数回起こっているだけに、が少し気にしたようだ。

「ごめんー…」
「いいって。触るぞ」

そう言って泉は、の体のラインを撫でるように手を滑らせる。
くすぐったそうに反応するの唇にキスを落とす。
徐々にキスが深くなり出し、そっとの体を押し倒す。

「やっぱくそ甘いな」
「さ、先に謝ったもん」

拗ねて横向きになるを宥めるようにの頬にキスをした後、の耳を軽く噛む。

「ん…」
「俺はお前らしくて好きだけどさ」
「ま、またそんな冗談、で…!あ…孝ちゃん、手…だめ…」

泉が手での服の上からそっと胸の膨らみに触れる。
優しく胸を撫であげるようなじれったい手に相反して、攻めるように舌で音を立てて耳を舐めた。
の思考が徐々に奪われだした直後、耳元で囁くように発する泉の息が掛った。

「こんな時に冗談言うかよ。口説いてんだよ」

ピクッと反応したようにの肩が揺れ、横向きになったままの状態で顔だけを泉の方に向ける。

「そんなの私、簡単に口説き落とされちゃう…」
「落ちたら可愛がってやるよ」

背後から手を回し、の体を抱きしめる。
泉の片手がの服の裾から中に侵入し、軽く下着の上からの胸の膨らみに手を触れた後、 のブラジャーのホックを外す。
出来た隙間から、直接の胸に触れ、胸の先端を指で摘まむ。
は片手で口を押さえながら声が出るのを堪えている。

「声出せよ。誰もいねぇって」
「ちがっ…!ぁ、ん…叫んじゃい、そう、だから」
「なにが」
「孝ちゃんが好き、って…いっぱい…んん」
「言えよ。聞きたい」

泉が悪戯に口角を釣り上げ、の上の服と一緒にブラジャーをたくし上げる。
泡になり揺れた胸を隠すように「恥ずかしい…」と言いながら、 後ろを向いて布団に顔を埋めるに覆い被さりながら、泉はの胸を両方の手で揉み上げる。

「ふ、ぁ…!好、き…大好き…孝ちゃん…あっ」
「っ!まじで煽るの上手いよな。お前」
「だって好き、なの…ん…。孝ちゃんが…。ぁ、ん!好き…大好き…っ!」

の臀部に泉のものが当たる。 「こ、孝ちゃん…」とが背後を振り返ろうとした瞬間、泉によって唇を奪われた。

「ん、んん…!」

口を塞がれ、深く舌を絡め取る。 泉に肩を掴まれて仰向けにされたは、ゆっくりと泉の唇が離れると銀の糸が口元に垂れ、大きな胸の膨らみが上下する。

「すっげーエロいな」
「あ、はぁ…。孝、ちゃん…」

泉はの太ももの内側を撫で上げながら、が履いている短パンの上にそっと手を添える。
それに気付いたの体がピクンと跳ねるも、いつの間にかボタンを外された短パンの中に泉の手が侵入し、 ショーツの隙間から泉の指が直接の柔らかな箇所に触れたことで今まで以上の反応を見せる。

「流石に濡れてるな」
「ん…は…ぁっ!や、ぁっ!あ…!」

音を立てての秘部を泉の指が掻き乱し始める。
濡れて意味のなさないショーツに手を添え、短パンと一緒に手を掛け、の片足を抜くように脱がせる。
露わになり、すっかり濡れているの柔らかな秘部に泉の指が一本づつ入りだす。

「ふ、ぁ…!だ、め…!入っちゃ…ぁ…、ん!」
「っ!

泉に、の秘部の中をバラバラに指で掻き乱しながら深い口づけを交され、 の体が仰け反り、意識が瞬間的に遠のく。
秘部を攻められながら、反対の手では胸を刺激される。

「こ、ちゃん!…ぁ、あっ!ああ!」

果てる直前で指を抜かれ、「意地悪やだ…」といい、 涙目になっているにぞくりと泉の心がくすぐられ、 再びの秘部に指を入れ、搔き乱し、指で奥を突き上げる。

「だめ、だめ…っ!ぁっ!」

数回、繰り返される行為の中での喘ぎ声が響く。

何度か達して、体がビクビクと敏感になっているの頭を泉は優しく撫でる。
ゆっくりとの秘部から指を抜こうとすると、またの甲高い喘ぎ声が響き、びしょりとの中から液が溢れ出る。

「結構イッたな」
「は、ぁ…ん…」
「大丈夫か?」
「ん…」

泉の言葉にこくこくと頷き、「はぁ、はぁ…」と肩で息をするの口元に垂れた唾液を泉が手で拭うと、唇に触れるだけのキスをする。

「…っ、悪い」
「あ…うん」

泉は履いている自身のズボンと下着に手を掛け、固くなった自身のものを取り出すと手を添え、の名前を呼ぶ。
眉間に皺を寄せ、辛そうに歪ませている表情をしながら、手を動かす泉を前に、 息を整えながら、は乱れたままの姿でゆっくりと体を起き上がらせ四つん這いで、泉に近づく。

「はぁ…孝ちゃん…」
「…いいって。無理すんな」
「ううん。私がしたい」
「!馬鹿…手、貸せ」

泉に言われたとおりに右手を差し出すと手首を掴まれ、そのまま自身の陰部に手を添えさせる。
顔を真っ赤に染めるだが、そっと撫でるように手を動かすと泉が顔をしかめる。

「…お前、やり方どこで覚えてきた?俺は教えてねぇぞ」
「ち、ちがっ!孝ちゃんがするの、何回か見てるからだもん…」
「へぇ…そんな真剣に俺がするところ見てたのかよ」
「あ、う…。だ、だっていつもしてる最中、とか…これ、してる、から。それに孝ちゃんにはずっと私のこと考えてて欲しいもん」
「っ…かわいいこと言ってんじゃねぇよ…」
「だって…」
「流石に卒業するまで、挿れるわけにいかねぇからな」
「…孝ちゃん、好き」

大事にされているのがにしっかり伝わってくる。
とろんと溶けたような表情を見せるの唇を再び奪い取るも、 その間も泉のものをずっと離さずに、きゅっと軽く力を入れて握っていたに対して、 途中で泉が慌てた様にの肩を掴んで離そうとする。

、待て…!」
「へ?あ…」

白濁のものが飛び出し、の手にべたりと垂れる。

「あー…くそ」

遅かった…というように頭を抱える泉にがきょとんとしたように自身の手を見つめる。

「孝ちゃん…私、上手くできてた?」
「…まぁな」
「やった」

喜ぶの手首を掴み、床に置いていたティッシュで泉がの手を拭う。

「孝ちゃん…私、キャッチボールできる体力ない…」
「だろうな。俺もここまでするつもり無かったんだけどな」
「え。そうなの?」
「触るだけで終わるつもりだったんだよ。本当は。ったく、お前が煽るからだぞ」

そう言いつつ、の乱れた服を整えてくれる泉に、 は嬉しそうに微笑む。

「孝ちゃん」
「うん?」
「大好き」

そう言ってが泉の頬にキスを落とすと、泉は驚いたように目を見開く。

「吃驚した?」
「…ちょっとな」
「えへへ」

「ん…」

泉はの唇を塞ぐと再びの体をベッドの上に押し倒し、深く口付けた。
ゆっくりと唇を離し、こつんと額をつけると真っ赤な顔のに泉は可笑しそうに笑う。

「さっきまで散々喘いでたくせに、なにこれくらいで赤くなってんだよ」
「だ、だって…!」

すでに何度交したか分からない口付け。 未だに赤くなるもだが、人の事を言えた義理でも無いかと泉は思う。
何度交しても、止まらなくなる。むしろ愛おしさが増している。
だけどそんな日々が続けばいいとも願ってる。

「孝ちゃん…」

赤い顔でそう呼ぶ声に、目を細めて泉はの頭を撫でた。


あとがき
本来は連載の番外編の扱いで投稿予定だった作品です。 思った以上に泉君が攻めすぎてしまったため没にして別の世界線軸としての短編扱いとしました。 そのため名前の呼び方や設定は連載夢主のものを引き継いでおります。