15話 ハッピーバースデー!


「大丈夫?ツナー」
「ったく、リボーンの奴!」
「ツナが無茶するからだよ」

今日はツナの誕生日。でも昨日のリボーン君の誕生日会での出し物の最中でツナは大骨折してしまい、病院で入院中です。

「何処までもついてないよなー。俺」
「そんなことないと思うけど…」

むしろ私は、誕生日のツナを独り占めに出来るんだもん…。 ツナには悪いけど、正直私的にはすごくラッキーだ!

「ツナ!元気出して!お祝いしよう!」

と言いながら私がツナに抱きつくと全身骨折のツナが声を上げる。

「痛い痛い痛い!抱きつくな!」
「あ、そうだった!ゴメン!」
「ったく…ってかそれよりは学校行かなくていいのかよ。今日、平日だぞ!」
「だってツナのお祝いしたいもん!それにそこは大丈夫。恭ちゃん先輩に頼みこんだから」
「お前、そんなことの為に風紀委員の特権使うなよ…。先生に同情するよ」
「その代わり、今度はいつもの書類の量3倍だから。って言わたけどね」
「あーあ。京子ちゃんにも会えないし、今年の誕生日も最悪だよ」
「…ツナ」

そう言って、深くため息を吐いてベッドで横になるツナを見る。 やっぱり、一緒にいるのが私じゃ駄目なのかな?京子ちゃんじゃないと喜んでもらえないのだろうか。折角、ツナのために今年も誕生日プレゼントを…。

「あ!」
「どうかした?
「ツナに誕生日プレゼント持ってきてたの!渡すの忘れてた!」
「え?」
「はい!これとこれ!」

私は足元に置いていた紙袋の中から、大きい箱と小さい箱を机の上に出す。

「改めて、誕生日おめでとう!ツナ!」
「あ、ありがとう」

ツナは驚いたように目をぱちくりとさせている。

「えへへー、大きい箱の方がお誕生日ケーキだよ!昨日リボーン君に渡せなかったから、あとでリボーン君にも持っていくつもりなんだ」

ちなみに昨日は、リボーン君にネクタイピンをプレゼントしたんだけど、ケーキも喜んでもらえるといいなー…。

って変なところで器用だよな。本当…」
「料理だけは自信あるよー!」
「こっちの小さい方は何?」
「開けてみて!」

私の言葉でツナはゆっくりと小さい箱を開封する。中から茶色の万年筆が出てきた。

「いいの?!こんなの!」
「うん。ほら、何事も形からっていうじゃない?これ身につけて、ツナに勉強頑張ってもらおうと思って」
「お前、さらりと嫌なこというなよ」
「あはは、あとね。厄除け」
「厄除け?」
「ツナの周り、最近物騒でしょ。この前の刑事ドラマで、ポケットに恋人から貰った万年筆を入れてたら、犯人が撃った拳銃の弾が当たって命拾いしてた主人公がいたから。真似してみた」
「どんな状況だよ!それ!」
「でも、なにがあるか分かんないでしょ?ツナも、もしもの時にポケットにでも入れてたら助かるかもしれないよ!」
「怖いこというなよ!そもそも、刑事ドラマの見すぎだって!」
「いいじゃない。無いより有る方がさ」
「そりゃ、まぁ…そう言われると…」

ツナは、じっと私があげた万年筆を見つめる。少しその気になっているツナの様子に、私はくすりと小さく笑う。何気なく病院の壁にかかっている時計を見てみると、すでにお昼過ぎの時刻を指している。

「ツナ、お腹空かない?せっかくだから、ケーキ食べてよ」
「あ、うん。そうだね。置いてるとランボ達に食われそうだし」
「待ってて!食べられるように準備するから」
「あ、うん!ありがとう!」

私は一度ツナの病室からでて、給湯室へと向かった。 が病室から出ていったあと、ツナは再びその万年筆に目をやる。

「こわいこと言ってくれるよなぁ、ほんと。そんな状況あるわけないのに…」

はは、と軽く笑い飛ばすツナだったが、病室の外から「死ね!リボーン!」というランボの声と共に、ドカーン!という爆発音が聞こえたと思うと、恐らくリボーンに返り討ちに合ったのであろう…「ぐぴゃあ!」といつもながらのランボの声が病室の廊下から聞こえてきていた。

「…やっぱこれ、明日から持って歩こうかな」

何故かそう思ったツナだった。