26話 ツナの災難
「ツナ…大丈夫?」
「!なんで?!」
「リボーン君に言われてきたの」
「お前は俺を本気で殺す気か?!」
「口答えするな」
今、私はリボーン君に言われて泳げないツナを指導に来ていた。明日はプール開きでなんでも15mを泳がないと女子入りらしい。
「練習がんばろう!」
「本当!もう良いから!」
「駄目!」
「ひぃい!」
「はひっ!ちゃん、凄い迫力です!」
どうやらツナは私が来る前に、武の感覚指導や獄寺の理論指導に、ハルちゃんのまごころ指導…。 そして最後に京子ちゃんのお兄さんの熱血指導をみっちり受けたようだ。相当、堪えてるに違いない。
「大丈夫!ツナ、泳げてるよ?」
「え?」
ツナが泳げないのは知っているが、私の記憶が正しければ前はもっとフォームが酷かったはずだ…。 皆の頑張りが見ていてひしひしとツナのフォームから伝わってくる。
「それと、はい!」
私は鞄から持ってきたものをツナに手渡した。
「これって…」
「ビート板使うのが一番効果的だと思うよ?」
「そういうことは早く言えよー!!」
「アハハ」
俺の苦労を返せ!そう思わずにはいられないツナだった。
「ツナなら出来るよ!大丈夫!」
「…うん」
頷き再び前を向いて泳ぎ出そうとするツナに私は精いっぱいのエールを送る。
「(なんでだろう?にそういわれると、こんな俺でも、本当に出来るかなって思えちゃうんだ…)」
その様子をリボーン君はニッと笑うように見ていたのを私達が知る由もなかった。
「俺は帰るぞ」
「お、おい!小僧!」
「リボーンさん、10代目ならまだ…」
「ツナさん!」
「「!!」」
ハルの言葉に一同がツナの方を振り返る。
「ぷはっ!はぁ!」
「やったな!ツナ!」
「え?」
「さすがっス!10代目!」
「ツナ」
私は、ツナが泳いできた方向を指を刺した。
「ん?」
プールの中で立っているツナが、私の指先の方向を見る。
「お!泳げてる!!」
「やりました!」
ついに皆の指導の甲斐があって、ツナはビート板無しで15mを泳いでやってのけた。
「ありがとう!皆!」
そのはずだったんだけど…。
「ぅう~…」
テストは平泳ぎだったらしい。ツナはクロールしか練習してないのだからできるはずもなく…。 結局、女子入りでバタ足練習をさせられる羽目になってしまった。
「でも私はツナがこっちに居てくれる方が嬉しいよー!!」
「馬鹿!お前!こんなところで!しかもそんな格好で抱きつくな!」
「いやー!」
「ちょっ!沈むって!!」
私とツナの様子を少し離れたところで見ていた花ちゃんは、深く息を吐いた。
「15m泳げないダメツナなんて…。もどこがいいんだか…」
「平泳ぎは苦手なんだよ!クロールはトビウオのようだって、お兄ちゃん言ってたよ」
お兄さんには、そう見えたらしい…。