27話 私の願い事


「七夕大会?」
「そうだぞ。も来いよ」
「うーん、そういわれても…」

リボーン君から誘われた七夕大会のイベント。でも出し物がないし…。

「やっぱり、私はいいよ」
「願いが叶うかもしれないぞ?」
「あはは。私の願い事は、自分でどうにかしないと無理だからなぁ」

なんでも、七夕にちなんだ出し物をして審査員にジャッジしてもらい点数を競う大会らしい。 そして、1位の人が短冊に書いた願いが叶うんだって。もちろんボンゴレの強大な力により、その願いの達成率は100%と言われているそうだ。 リボーン君が言うだけに説得力がある。

「本当にいいのか?」
「うん。ハルちゃんが司会ならそっちを手伝うよ」
「…そうか」


ということで本番当日。会場は公民館。審査員は町内のお年寄り達だ。

ちゃん…」
「なに?」
「ハル、緊張してきました」
「ハルちゃんなら大丈夫だよ!私もサポートするから」
「そ、そうですね!ちゃんが居てくれると心強いです」

どうやらハルちゃんは、かなり緊張しているらしい。まぁ、人前で喋るんだから当たり前か。でも…。

「それでは一番バッターは並盛野球部、期待の星、山本武さん」

始まってしまえば、ハルちゃんらしく、私のサポートなんて必要ないみたいだ。

「願いは“野球部県大会ベスト4”です!」
「願い事かー…」

私は、武の出し物を見守りながら頭ではやっぱりツナのことを考えずにはいられなかった。

「七夕が本当に願いを届けてくれたらいいのになぁ…」

ドゴォ!!

「なぁっ?!」
「凄い球です!」
「いっけねー!わりぃ!」

どうやら、本当に武は野球の動作に入ると止まらないらしい。 獄寺が武の点数を下げるために仕掛けたんだけど、壁をぶち破るほどの威力に仕掛けた本人も驚いているようだ。

「バッ!バカヤロ~!」
「(はめた本人、一番ビビッてるし…)」

これは点数が伸び悩むかと思われたが、武が思い出したように何かを取り出す。

「おやじから皆に七夕寿司を配るように頼まれてたんで」
「おや、竹寿司さんの子かい?」
「(流石、ご町内!)」
「山本70ポイント。いいすべりだしだな」
「続きましては~…」

了平さんとランボ君のコンビだ。

「ボクシングを国技にするぞ!!」
「世界征服だもんね!!」
「困った願いばかりー!!」
「たしかに…」

出し物は、七夕と全く関係なく、笹とユーカリの葉を食べるというもので、結果は2点だった。

「次は、イーピンちゃんだね」
「はい!」

イーピンちゃんは、お師匠さんに再会したいんだって。

「綺麗な花火じゃの~」
「あは、あはは…」

出し物をやるはずだったが、お年寄りさんに、お地蔵様と勘違いされて拝まれてしまったイーピンちゃんは恥ずかしさのあまり、大爆発。勿論…。

「な、なんとか間に合った…」

爆発寸前で窓の外に遠く放り投げたツナが、息を切らしている。

「ツナが一番苦労してるんだよね」
「イーピン、95ポイント」
「さぁ、お待たせしました!」

ツナと獄寺が最後だ。

「願い事は…」
「わっ!ちょっ!まてっ!!」
「まだ言うな」
「はひっ?!」

獄寺の願い事は優勝するまで隠しておきたいそうです。まぁ、こっちは聞かなくても、ツナの右腕だろうけど…。

「ツナの願い事は…」

あの慌てた様子じゃ、おそらく京子ちゃん絡みだろう。別に、今に始まったことじゃないし、頭では十分わかっているつもりだ。だけど…。

「やっぱり落ち込むんだよ…」

お年寄り達が楽しそうにツナと獄寺の演技を見ている。 死ぬ気モードで着物を着て、刀を持ちナイフをはじくツナを見てカッコいい…。と思いつつも、なんだか寂しさが込み上げてきた。

「決定ですね!」
「そうだね」

圧倒的な支持率で、優勝はツナと獄寺で決定した。

「9代目が喜ぶぞ」
「そう…ん?」

なんで9代目…?思わず相槌打ちそうになるも、私は、なんのことだろうとリボーン君の方を見る。

「俺がツナの願い事を“立派なボンゴレ10代目になる”に変えたからな」
「そ、そうなんだ…」

リボーン君が相変わらずで思わず私は笑いがこみあげてくる。

「ま、そういうことだから頑張れよ」
「…え?!」
「まだ時間はあるってことだ。焦る必要、ねーからな」

ニヒルな笑みでリボーン君はツナたちの方へ向かった。どうやらリボーン君は、私のことを心配してくれていたらしい。

「相変わらずカッコいいなー…」
「ツナさんですか?」
「そうじゃなくて、リボーン君」
「はひ?ハルは可愛いと思いますけど…」
「ううん。カッコいいよ」

リボーン君に心の中で感謝をする。

「ボスになんかならないからな!」

とんだとばっちりを受ける結果になってしまったツナには申し訳ないけど…。楽しい七夕大会になりました。