33話 表裏の困惑
「はぁ…」
此処に連れてこられて、そろそろ丸一日が経とうとしている。
「もう、限界だよ…」
私…このままじゃ…ツナ不足で死んじゃう…!!
ツナはどうしてるのかな?私のこと…ちょっとでも心配してくれているのかな?
「つな…」
私は、どうしたらいいの?
「てめー、どこのファミリーのもんだ」
「やっと…当たりがでた」
獄寺の前に、黒曜の生徒がふらりと立ちふさがっていた。
「獄寺君!どこにいるんだよー!!」
学校も早退してるし、電話もつながらない。
「どーすれば!!」
「さっきも商店街見た?」
「え?」
ランキング表を見てしまった俺は、必死に次に敵から狙われるであろう獄寺君を探していた時、高校生くらいの女の子二人が話している言葉が耳に入った。
「なんか、並中の子とケンカしたんでしょ?」
「(まさか!!)」
慌てて方向を変え、商店街へと走り出した。
ドン!!
「はっ!今の爆発音ってまさか!」
俺が並盛商店街に急いできた瞬間に聞こえてきた爆発音
「(取り込み中だったらどうしよう!)」
そう思いつつも獄寺君のことが心配で、そっと店の角から様子を覗きこんだ。
「けっこーやばかったなぁー」
「獄寺君!!」
「10代目!!」
黒曜生と戦っている様子はなく、その場でたばこを吹かしている獄寺君に少しほっとした。
「あの、獄寺君が、黒曜中の奴に狙われてるって…噂みたいなのが」
「そのためにわざわざ!恐縮っス!今やっつけたとこっす!!」
「えー!じゃあ、やっぱり本当だったんだ!!」
つーか…返り討ち?!
やっぱこの人、つえーっ!
「その辺に転がしといたんで…!?」
「?」
「なっ!いない!!」
「え」
「手間がはぶけた」
どこから声が…?
「ひぃいいいい!」
黒曜の服をきた生徒が血まみれになり、立っているのがやっとのようにゆらりとこっちに来た。
「気をつけてください!奴の武器はヨーヨーです!」
「そんなこと言われても…怖くて…動けないよ…!!」
「な!?」
ビュッ!
俺に向かって、黒曜生が放った大量の針が襲ってくる。
「ひぃ!?」
とっさに目を閉じたが、いつまでたっても痛みが襲ってこない。
「…え?」
俺が恐る恐る目を開けると、目の前には獄寺君が…。
「10代目…逃げて、下さい」
「獄寺君!?」
ドクン!!
「え…」
なに…今の?すごく嫌な感じがした…。ツナ?
何事もなければいいのにと私は願うように窓を見上げた。
「獄寺君!?大丈夫!!」
俺の身代わりになって倒れた獄寺君の体を俺は必死で揺さぶる。
「獄寺君!!」
「壊してから…連れていく」
「!!」
どーしよう…このままじゃ、やられる!!でも、足がすくんで動けない…! どうしよう…。だけど黒曜生は、こちらの都合なんてお構いなしにヨーヨーを放とうと構えている。
「うわあああああ!」
どん!!
「いっ!!」
後ろにぐらりと揺れた体。誰かに引っ張られた?ヨーヨーの攻撃は一切受けてない。一体、誰が?
「フーッ。すべりこみセーフってとこだな」
「山本ぉおお!」
「、どうかしましたか?」
「骸君…」
部屋に戻ってきた骸君が私の表情を見て問いかける。
「なにかありましたか?」
「…ううん。なんでもないの」
きっとツナ達は大丈夫だよね…。だめだ、悟られてはいけない。と私は何事もないように骸君に笑顔を繕う。
「…」
「は…ぃい?!」
私が骸君に返事を返そうとしたと同時に、骸君に強く体を抱きしめられる。
「む、骸くん?!」
「、お願いがあります」
「え…」
「僕だけを見てください」
「骸…君…?」
オッドアイの瞳が真っ直ぐに私を見つめている。 なぜかその瞳から避けることができなくて、力が抜けていくと同時に、大切なものが抜け落ちそうな、そんな感覚がした。
「俺、馬鹿だ」
なんであの場所にいっちゃったんだろう。俺のせいで獄寺君は、保健室で寝たきりだ…。
ぽつ…
「つべて!…って!!」
「ちゃおっス!」
「なんじゃこりゃー!!」
さっきまで変わりっぱなしだったレオンが、次は落ち着いてなんとマユになってしまってた。
「つーか、お前なにしてたんだよ!こっちは大変だったんだぞ!」
「イタリアでおきた集団脱獄を調べてたんだぞ」
「はぁ?」
そこで、俺はリボーンに聞かされることになる。骸が脱獄犯であるということについて…。
「奴らは、マフィアを追放されたんだ」
「!!」
一体、なんでこんなことになってしまったんだろう。俺は頭の中が、真っ白になった。