07話 夜のゲームはNG!
「はぁあ、さっぱりしたぁ」
やっぱり人間のリラックス方はお風呂だな。
「綺麗…」
飛行船の窓から見える夜景はキラキラとしていた。
「さぁ、早くゴンとキルアの所に行こうっと!」
足早に私は歩きだしたその最中…。
「やぁ」
「やぁって、ヒソカあああ!」
「君も一緒に、トランプでもしないかい?」
「え、あー…ごめんなさい!ゴン達と待ち合わせしてるのでまた今度で!それじゃあ!」
私は全速力で走って逃げた。
「残念…逃げられちゃった」
いやいやいや…!なにあれ。意味分かんない!意味分かんない!!
「は、はぁああ…」
困った事に私は、どうやら何故か変なピエロに目をつけられているらしい。
だけどヒソカには申し訳ないが、今後もできる限り関わらない方向でいきたいものだ。
「あ、!」
「え?あー!ゴン!キルア!」
幸運な事にも逃げた先で私は、ゴンとキルアの二人に合流することができた。
「なにか話してたの?」
「俺の親が殺人鬼だって話」
「ぁあ、なんか分かる!確かにキルア強いしねー!」
「…本当、お前ら何なんだよ」
「へ?」
「マジ面で聞き返されたのも初めてだったけど、馬鹿面でそんな風に言われたのも初めてだよ」
「馬鹿面って…」
なかなか酷い…。なんて思いつつもキルアの話を聞いていた。
暗殺一家と暗殺家業…。
だけどその日常は、キルアにとってどんな日々だったのだろう?
「そういえば、の両親は?」
「実は私の両親もハンターなの」
「どっちも?」
「そう。でも私の親、両方ともすっごい変わっててさ」
「見てりゃ分かるって」
「どういう意味よ!」
キルアは私が変だって言いたいのか?失礼な!
「それで今はどうしてるの?」
ゴンは、興味津々といったよう私に問いかけた。
「分かんない。昔、二人してバラバラだけど幼い私を置いて旅に行っちゃったから」
「え。そうなの?」
「うん。だから私、知り合いの家に預けられたの」
「なんか、俺と似てるね」
「そうかも。でも私は親の事ははっきり覚えてるし、ゴンのお父さんみたいに立派な人じゃないよ」
そう。いわゆるただのハンター馬鹿だ。
「いいのかよ?そんな親で」
「捜さないの?」
「うーん。正直、親って感じはしてない。それに私の親の場合は別に、行方不明って訳でもないから」
最近でこそ連絡はこないが、昔はよく電話を掛けてくれていた…。
どうしてるのかとか考える余裕がないくらいおじいちゃんからと修行の毎日だったから、 あまり思ったことはないけど元気なのかな。
「あ、でも私を育ててくれた人って言うのがね…」
カッ!!
「「!」」
ゴンとキルアは突如背後から感じた視線の方を慌てて振り返る。 でも、その視線の先には誰も居らず、逆の方から声が聞こえてきた。
「どうかしたかの?」
「ネテロさん」
「素早いね。年の割りに」
どうやらキルアはネテロさんの強さに気づいているらしい。
「今のが?ちょこっと歩いただけじゃよ」
うわぁ…目の前に明らかにバチバチという火花が散っていた。ゴンは、そんな様子を不思議そうに眺める。 全く…もう!
「おじいちゃん!」
「なんじゃ、。ここでは会長と呼ばんか」
「今は自由時間のはずよ。監視される理由もない」
「はてなんのことじゃか。退屈なんで遊び相手を捜しておっただけじゃ」
「…よく言うわよ」
「ねぇ!!」
「え?!なに、ゴン?」
「ネテロさんと知り合いなの?」
「…この人が今、私を預かってくれてる人なのよ」
「っ!」
「あーなるほど!」
「ちげぇだろ!なんで、てめぇはそんな簡単に納得すんだよ!」
正直、私もそこまで簡単に納得されるとは思わなかった。
「えー、なんとなくそうかなって」
「でたよ。なんとなく」
「ある意味、最強の言葉だよね」
「それに、さっきおじいちゃんって呼んでたしね」
「(でも、確かにの強さの理由に説明がつくか…)」
キルアは、何か考えるように私を見る。
「ちなみに私の師匠だよ。この試験を受けろって言った張本人」
「(俺の思い過ごしかと思ったけど、が走ってた時とたまに感じた強さはこれか)」
「ところで、どうかな?お二人さん、ハンター試験初挑戦の感想は?」
「俺は楽しいよ!」
「…俺は拍子ぬけだね。次はもっと楽しませてくれるんだろ?」
「さぁ、どうかのー?」
あーあ、おじいちゃんのあの顔…最悪な展開だ。 キルアちょっと怒ってるし…。
「行こーぜ。時間の無駄だ」
「まぁ、待ちんさい。おぬしらワシとゲームせんか?」
…やっぱりかこの、馬鹿師匠ー!!!! 「わしからボールを奪えば、ハンターの資格を与えてやるぞ」
「ちょっと!おじいちゃん!」
「まぁ、良いじゃろ。」
いや、良くないって!!だって、そのゲームは…。
「じゃあオレから行くよ」
「御自由に」
「待ってってばー!」
私が止めても聞く様子はなかった。
「だって、そのゲームは…」
私が完全に捕れるようになるまでに2年も掛かったんだからー!!
「(いくらゴンとキルアが強くても、初見殺しすぎるんだよなぁ…このゲーム…)」
もう言っても聞かないだろうと私は、黙って静観することにした。はじめはキルアが仕掛けた。
キルアが何人にも見える…。
「さすが…」
でも、そんなのでネテロさんからボールが捕れるはずはない。
勿論、ネテロさんは軽々しく避ける。足に蹴りをくらわしても、痛いのは…
「いってぇ~~~!」
蹴った方なのだから、ずるいよね…。
「大丈夫ー?キルア!」
分かるよ、私も一回やってるから…。
「よし!次はオレだ!」
こうして、ゴンとキルアとネテロさんの長いゲームの時間が始まった。
だけど二人掛かりでも捕る事は出来ず、私は気付いたら意識を失っていた。
「くー…くー…」
寝てしまった私は、こてんと横になった。
「やーめた。ギブ!オレの負け」
「なんで?!」
「あのジイさん。右手と左足ほとんど使ってないんだもん」
ぼやける視界…かすかな声が聞こえる…。
「俺、ネテロさんに右手くらい使わせてみせるよ!」
「…はぁー、分かった。俺、先に寝るわ」
「あ、待って!キルア」
「あん?」
「、連れてってあげてよ。こんなところで寝てたら風邪引いちゃう」
「ああ、そっか。わかったよ」
キルアは寝ているを背中に背負って、その場を去った。
「ふにゃ…」
私はキルアに負ぶわれながらも、そのまま眠りについた。