14話 四次試験終了!飛行船の中で
ボー!!
四次試験終了を告げる大きな音が森中に響き渡った。
「ん…もうそんな時間?」
眠い目をこすりながら、は体を起き上がらせる。
「終わったみたいだな。さっさとこんな森、出ちまおうぜ」
「そうだね」
これでこの薄気味悪い森の中ともおさらばだ…!
「そうだ、。今回のは、貸しだからな。今度なんか奢れよ」
「任せなさい!」
でも本当にキルアのおかげで助かった。 こんな所に女の子一人で過ごすなんて正直、勘弁だものね。
「行こう!キルア!」
私達は最終試験に向かうのであろう飛行船に乗り込むのであった。
「あ、ゴーン!」
「、良かった。無事で」
「うん!無傷だよ!でも、そう言うゴンは…」
あちらこちら傷だらけだ。 そして何より、いつもより明らかに元気が無い。
「だ、大丈夫?」
「あ。うん。平気だよ」
「…なんか、あった?」
「え?」
「ゴン、元気ないから」
「そんな事ないよ」
「私、そんなに信頼ないかな…?」
「!違うよ!」
「じゃあ、教えて欲しいな。話すことで楽になることもあるかも知れないから」
「には敵わないや」
それから私は、ゴンから四次試験であった時のことを聞く。 ヒソカからプレートを奪った事。逆に、他の人にゴンがプレートを捕られた事。 そしてヒソカに、「これは貸しだ」と言われ、プレートを渡されて合格したという事を聞いた。
「悔しかったんだ。無性に、情けなくて」
「…ゴン」
「それで、その後クラピカ達の所に行ったんだ。なにか俺に出来ることがしたくて」
「ゴン。私は…私はゴンに会えてよかった」
「…」
「どんなにありがとうを言っても足りない。私はゴンに助けられてここまで来たの。だから、そんな風に言わないで…」
そう言って私は、ゴンを強く抱きしめた。
「…」
「大丈夫。ゴンなら、絶対にハンターになれるよ」
「、ありがとう。なんかミトさんみたいだ」
「ミトさんって確かゴンを育ててくれた…」
「うん。ちょっとだけ、はミトさんに似てる気がする」
「私が?」
「ミトさんの匂いとは違うけど、甘くてすごく優しい良い匂いがする。あと言動とか、俺のこと本気で心配してくれることとか」
そして、私はゴンを離し笑顔で言った。
「それはきっとミトさんと同じで、私がゴンのこと大好きだからだよ!」
「これでも一応年上だしね」と冗談めかしたように笑うと、ゴンもいつもの笑顔で私に笑いかけた。
ゴンに別れを告げると、角を曲がったすぐのところでクラピカが立っていた。
「、見てたぞ」
「クラピカ…。だ、だって、なんだかゴンのことが放っておけなくて」
「だろうな」
「ん。じゃあ、後は頼んだ!」
「私がか?」
「私がゴンに出来るのはあそこまで。ここから先は、私よりクラピカの方がいいと思うから」
「分かった」
そう言って、その場を離れるにクラピカは優しく微笑んだ。
「全く…の行動には、いつも驚かされるな」
「クラピカ!」
「やあ、ゴン」
男の子同士にしか、語り合えないこともあるだろうから…。
は、「さぁ、お風呂にでも入ろう!」と意気込んでいたその時、船内にアナウンスが響き渡った。
「これより会長が面談を行います」
…今、お風呂に入ろうとしたところなんですけど。あのくそじじぃ。
「受験番号44番の方」
「あ。受験番号順か」
それなら、まだ時間あるよね。早く入っちゃぉーっと…。 私は、足早にシャワールームへと足を向けた。
「遅くなりましたぁあ!」
「10分も遅れてくる奴があるか、馬鹿もん」
「だから、ごめんってば」
「お前は昔から時間を守らん奴じゃて」
「それは、いつも私の都合を考えずに急に呼び出すおじいちゃんが悪いんじゃん」
本当、タイミングが悪いんだから仕方ないよね。
「ほう。そんなに今すぐ失格にして欲しいのかのぉ?」
「失礼しました!今度からは気をつけます!会長!」
「うむ。それで良い」
こんの…クソじじぃ…人の足下見やがって…。
「今から、いくつか質問をするが…」
「全て正直に答えます」
「うむ。ではまず、なぜハンターになりたいのかな?」
「はぁ?」
このじじぃは、本当に私を怒らせるつもりらしい…。
「おじいちゃんが無理矢理受けさせたんじゃない!」
「一応、聞くのが規則でのー」
「どんな規則だ!どんな!」
「うむ、では次の質問じゃ。この中で、一番注目してるのは?」
会話、流された?! 今にもツッコミを入れたい気分だが、目の前に出された受験生の写真に私は息を吐く。
「えっと…ゴンとキルアかな。あ、こういう言い方は駄目だよね。405番と99番」
注目っていうかどうかは、分かんないけど…。
「ふむ。では、今一番戦いたくないのは?」
「…皆」
「答えになっとらんのう」
「分かってる。だから、特にあげるなら99番、403番、404番、405番」
「…仲間か?」
「私はそう思ってる。それに、この4人にはいっぱい助けて貰ったから戦えと言われても、戦えないよ」
「うむ。お主にしては、明確ないい答えじゃな」
「えへへ。あ!そうだ!あと私、44番のヒソカとも絶対に戦わないからね!」
「理由は?」
「気持ち悪いから以外、理由あるわけないでしょ?」
「……」
ネテロさんは、あきれ果てたような顔で私を見た。
「もう質問は終わり?じゃあ、行くね」
「まぁ、そう急ぐな」
「なに?」
「ここからは保護者としての質問じゃて」
「おじいちゃん…?」
一杯お茶を飲むとおじいちゃんが、普段から私に向けるような微笑みを向ける。
「どうじゃ、友達とは」
「…え?」
「楽しいかと聞いとるんじゃ馬鹿もんが」
「ばっ!…もう…。ワクワクする、かな?」
「ほう」
「私、こんなにドキドキした事ないくらい楽しかったよ。だから、試験を受けろと言ってくれてありがとう」
本当に、感謝してます。まぁ、最初はぶん殴ってやりたいくらいムカついてたけど…。
「早いもんじゃて…お主が来て、もう10年じゃ」
「そう、だね」
「これは10年経った時にと最初から決めておった事じゃ」
「え、そうだったの?」
「お主に伝えんとイカン事もあるのう」
「伝えないと、いけないこと?」
「しかし、それは試験に受かってからじゃなぁ。よって!」
「な、なに?!」
「受からんかったらどうなるか、知りたいかのう?」
私はおじいちゃんからヒンヤリとした嫌な空気を感じ取った。
「け、結構です…」
「ほう。そんな遠慮せんでもよいぞ」
「い、いいです!全力で頑張りますから!」
「うむ…」
「は、はい!」
「お友達と仲良くのう」
「!もちろん!」
そう言って私は、部屋を急いで出た。
「こ、殺されるかと思った…!」
いや!まじであの空気はヤバかった。でも何だろう。私に伝えないといけないことって…。 それにこのハンター試験を受けさせることは決まってたって…? うーん。よくわかんないけど、ハンター試験が終わったらいやでも分かるよね。
「!」
「あ。キルアー!」
「結構、長かったな」
「うん。ちょっとね」
「ゴンの奴も今いねーから暇でさ」
「あ、面談か」
「そう。それより、食堂で何か食べてようぜ。腹減っちまったよ」
「そういえば、四次試験からあんまりまともな物食べてなかったね」
確かに、思い出すと私もお腹が空いてきちゃった…。
「よーし!それじゃあ食堂へレッツゴー!」
そうして、私はキルアと一緒に食堂へと向かった。
「よぉ!!」
「レオリオ!」
「なんだ、オッサンも来てたのか」
「相変わらずだな!このガキ!」
「まぁまぁ。あ!すいませーん!エビグラタンとミートスパゲティーとチョコケーキと苺パフェ。あとミルクティーも付けてね!大盛だよ!」
「いや、食いすぎだろ!おい!」
「だってお腹すいたもの。それにここ一週間まともに何も食べてなかったし」
腹が減っては戦は出来ぬって言うしね!
「らしいな」
「あ。クラピカ!クラピカもなんか食べる?」
「いや、私は飲み物だけで結構だ」
「そう?あ!いただきまーす!」
そう言っては豪快に食べ始めたが、 そんなを呆然と三人は見ていた。
「ん?なに?」
「い、いや…」
「流石というか。なんと言うか…」
「俺もよく喰う方だけど、お前もすげぇな」
「たまにだよ。いつもこんなに食べるわけじゃない」
「そりゃそうだろ」
「じゃないとこのナイスバディーは保てないよ」
「どこがだよ」
「キルア酷い!」
私がそう言いながらグーでパンチを仕掛けようとした時、ゴンの声が響いた。
「皆、お待たせ!」
「ゴン!」
天使が来たと思いました!
「うわっ、凄い量だね!!」
「ゴンも一緒に食べようよ」
「うーん。じゃあ、俺はー…」
「あ!俺、お代わり頼む!」
「すいませーん!バニラ追加!」
キルアとゴンを含めて私達三人は、既に食べ物に夢中になっていた。
「あいつらの元気さにはついていけねぇよ、俺は…」
「私はもう慣れた」
こんな一時が楽しいと思えるのは、幸せなのだと気づきました。